歯科医学
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当科における過去26年間の顎矯正手術の臨床統計的検討
閔 理泓 長谷 小町濱田 翔央藤井 智子本橋 具和正重 裕一大西 祐一蝿庭 秀也中嶋 正博
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2022 年 85 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

現在,顎矯正手術は口腔外科の中で大きな位置を占めるようになっている.今回われわれは過去26年間当科で行われた顎矯正手術について臨床統計的検討を行ったので報告する.患者は1993年4月から2019年3月まで当科で行われた1,556例を対象とし,年度別に見た1.性別,2.手術時年齢,3.手術術式,4.手術時間,5.術中出血量について調査した.また,過去26年間のうち1993年4月から2006年3月までを期間I,2006年4月から2019年3月までを期間IIと分けた.内訳は期間Iで735例,期間IIで821例であった.男女比はのべ男性466名,女性1,090名とほぼ1:2であり,期間I・II間で大きく差はなかった.年齢別では,最少齢15歳,最高齢64歳であった.患者の大半は10〜30歳代で,期間I・IIのどちらも20歳代が最も多かった.手術術式は,期間I・IIともに両側下顎枝矢状分割術が最も多く,次いで上下顎移動術であった.期間Iと比べて期間IIは上下顎移動術が約3倍に増加していた.手術時間は各症例において期間Iより期間IIが約10〜20分の短縮があった.術中出血量は期間I・II間で大きく差はなかった.以上より,顎変形症に対する外科的矯正治療は認知度の上昇とともに,当科においても症例数の増加傾向を認め,特に30代,40代の症例数が増加した.また,症例数の増加とともに上下顎同時移動術やオトガイ形成術の症例数が増加し,症例が多様化する傾向が認められた.さらに熟練度が増すととともに,手術時間,出血量の減少が認められた.

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