抄録
鉄鋼材料を健全に使用するためには,使用される環境の腐食性評価が重要である。腐食性評価には対象材料の実暴露試験による腐食速度の測定と使用環境の環境因子から推定する二つの方法がある。実暴露による評価は高精度ではあるが長期間を有し,一方,環境因子からの推定では比較的短期間で評価が可能であるが精度が劣るという特徴を有している。実暴露試験では,近年,遮へい暴露試験が重視されており,飛来塩分の多い環境では直接暴露試験の数倍の腐食速度が観察される場合もある。
今後,正確な大気環境の腐食性評価を行うためには,新たな暴露試験も必要であるが,従来の腐食データのデータベース化も重要なカギを握っており,NIMSでもこれらの課題に取り組んでいるところである。