色材協会誌
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総説
かまぼこの製造技術
-食感と白さの創出-
阿部 周司
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2018 年 91 巻 2 号 p. 52-57

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抄録

かまぼこ特有の食感と白さは,製品を評価するうえで重要な項目となる。かまぼこの食感の形成は,魚肉タンパク質のゲル化を利用している。とくにミオシンやアクチンといった筋原繊維タンパク質がゲルの形成,すなわち食感の形成に重要な役割を果たす。魚肉中のこれらのタンパク質は塩に溶け,熱に対して不安定な性質をもつ。そのため,擂潰(らいかい)条件や加熱条件によって,得られるゲルの状態が異なる。また,かまぼこの白さを生み出す理由として,おもに白身魚を原料として使用することと,水晒しの工程を経ることが挙げられる。本来,水晒しは魚肉中の水溶性成分を除去し,ゲル形成能を高める工程であるが,この工程で色素成分も抜ける。そのため,結果的に水晒しによって,かまぼこの色は白くなる。
本稿では,かまぼこの食感と白さを生み出す技術について,ゲル形成の化学的な反応と評価方法,および水晒しの工程中に生じる魚肉の水溶性成分の拡散現象の面から解説する。

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