再生医療では,細胞の増殖・分化を制御して組織構築を促す細胞培養足場材の設計が重要である。足場材としては,水を多く含み生体環境を模倣しやすいため,ハイドロゲルが着目されている。ハイドロゲル内で培養する細胞は,ハイドロゲルの硬さに応答して組織形成能が変化することが報告されている。一方で,ハイドロゲルに生分解性を付与することで,組織形成能が向上することも報告されているが,これがゲル分解による硬さ変化に対する応答と関係あるかはまだ明確化されていない。実際の生体組織は破壊と再生を繰り返しているため,この硬さ変化に対する細胞応答の考察をより明確化することが,今後の組織工学の発展に寄与するであろう。