金属ペーストは,バインダーとして高分子樹脂を含む粘性の高い流体である。バインダー樹脂はペースト中に含まれる粒子の基材に対する密着性を高めるために使用されている。ペースト乾燥後において,乾燥物中の金属粒子の分布は,ペーストの最終的な機能に対して重要な役割を果たす。本研究では,バインダー樹脂の相分離が金属粒子の分布に与える影響に着目した。このような研究では,金属粒子とバインダー樹脂の空間分布を同時に明らかにする必要がある。そこで,金属粒子とバインダー樹脂との表面弾性率差に基づいて,両者の分布を調べることにした。表面弾性率は,原子間力顕微鏡を用いたナノ触診法により測定した。バインダー樹脂の相分離は,金属粒子の分布に影響を及ぼすことを示唆する結果が得られた。