酸化チタンは化学的安定性に優れた半導体であり,比較的高い光触媒活性を示すことから,エネルギー製造など多くの反応系での利用が検討されてきた。特に,分子レベルまで微細化された分子性酸化チタン種は,より離散的なエネルギー準位となり,半導体光触媒とまったく異なった光励起状態と反応特性を示すことから注目を集めている。しかしながら,分子性酸化チタン種はきわめて不安定であるため,その安定化・固定化技術の確立は重要である。これまでに,分子性酸化チタン種の固定場として,ゼオライトやメソポーラスシリカなどのシリカ系ナノ空間材料が広く用いられきた。本稿では,その骨格や細孔表面の特性を利用した触媒設計について概説する。