1995 年 68 巻 5 号 p. 271-276
ポリオキシエチレン (POE) 鎖長 (n) の異なる4種類の非イオン界面活性剤 {ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル (C16POEn;n-10, 20, 30, 40)} を用いた合成香料 {2-フェニルエチルアルコール (PEA), ベンジルアセテート (BA), d-リモネン (LN)} の可溶化を, 可溶化平衡定数およびミセル粒子径の測定から検討した。香料の可溶化平衡定数は, 非イオン界面活性剤のPOE鎖長あるいは香料のHLB値の増加に伴い減少した。ミセル中におけるPEAの活量係数は他の香料よりかなり小さく, 0.1~0.2であった。また, 香料1分子を可溶化するのに必要な界面活性剤の分子数 (2B値) は, LNの場合0.7~1.0, BAの場合0.4~1.0, PEAの場合1.7~2.8であった。さらに, C16POE10ミセルの粒子径はPEAの可溶化量の増加に伴い増大した。これらのことから, PEAはLNやBAに比べ, より強くミセル親水部のPOE鎖 (親水基) に吸着し, POE鎖の脱水和を誘起することが示唆された。