神経眼科
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症例報告
両眼開放視野検査が診断の一助となった片眼性機能性耳側半盲の1例
後藤 克聡竹上 亜也加荒木 俊介三木 淳司水川 憲一瀧澤 剛山下 力春石 和子家木 良彰桐生 純一
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2017 年 34 巻 4 号 p. 443-448

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抄録

両眼開放視野検査が診断の一助となった片眼性機能性耳側半盲の1例を報告する.症例は16歳,男性.1か月前からの右眼の耳側視野障害を主訴に近医を受診.外傷や精神的ストレスの既往はなかった.Goldmann視野検査(GP)で右眼の耳側半盲がみられたが,他の眼科的所見に異常はみられず,頭部磁気共鳴画像・頭部磁気共鳴血管造影でも異常はなかった.右眼耳側半盲の原因が不明であったため,精査目的で当科紹介受診となった.当科初診時,矯正視力は両眼とも1.5,限界フリッカ値は両眼とも43 Hz,相対的瞳孔求心路障害は陰性,前眼部,中間透光体,眼底に異常はみられなかった.GPでは,左眼は正常,右眼は垂直経線で分割された耳側半盲を呈した.光干渉断層計,多局所網膜電図においても右眼の半盲部位に一致する異常はみられなかった.しかし,GPによる両眼開放視野検査では,右眼片眼視野と同様の右半側視野欠損を示し,器質的疾患でみられる所見とは矛盾する結果であった.以上の所見から,右眼の機能性耳側半盲と診断された.片眼性耳側半盲がみられた場合,器質的疾患と機能性視覚障害との鑑別が必要であり,本症例では片眼視野と両眼開放視野の比較が診断の一助となった.

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© 2017 日本神経眼科学会
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