神経眼科
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症例報告
長期経過観察が可能であったVici症候群の一例
金山 俊介池田 哲也後関 利明石川 均浅川 賢庄司 信行
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ジャーナル 認証あり

2019 年 36 巻 3 号 p. 330-334

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抄録

 Vici症候群は,1988年にViciらによって報告された脳梁欠損や先天白内障,眼皮膚白皮症や混合性免疫不全などを呈する常染色体劣性遺伝の先天性多臓器疾患であり,その多くは心不全や感染症によって3歳未満で死亡することが多い.細胞内蛋白代謝調節関連遺伝子であるectopic P-granules autophagy protein 5(EPG5)遺伝子の変異が原因とされている.眼合併症として,先天白内障や網膜低色素のほか,視神経萎縮や眼振などの神経眼科的な異常を呈することが多い.今回我々は,網膜電図,視覚誘発電位検査,赤外線電子瞳孔計などの他覚的検査が施行可能であった17歳の本疾患を経験した.両眼の閉瞼不全による点状表層角膜炎と両眼の視神経萎縮を認めたものの本疾患に典型的な白内障と網膜低色素は認めなかった.網膜電図ではnegative typeの波形を認め,視覚誘発電位検査は両眼とも明瞭な反応を認めたものの,対光反射は消失していた.今回の症例は我々の調べ得る限り過去最高齢であり,他覚的な視機能検査を施行することが出来たVici症候群の症例を経験したので報告する.

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© 2019 日本神経眼科学会
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