2020 年 37 巻 2 号 p. 154-159
目的:健常成人と上斜筋麻痺患者を対象にORTeと大型弱視鏡で回旋融像域を測定し群別,機器別に比較検討した.
対象と方法:コントロール群17名(28.9±6.3歳),上斜筋麻痺群17名(46.1±23.9歳),ORTe及び大型弱視鏡にて正面,上方15°,下方15°の回旋融像域を測定した.
結果:コントロール群ではORTe 9.6°〜10.2°,大型弱視鏡13.6°〜14.4°,上斜筋麻痺群ではORTe 12.0°〜13.5°,大型弱視鏡16.5°〜18.4°であった.コントロール群ではORTeの方が全方向で有意に小さく,上斜筋麻痺群ではORTeの方が正面と上方で有意に小さかった.機器別にコントロール群と上斜筋麻痺群を比較した結果では,両機器ともに両群間に有意差はなかった.
結論:ORTeは大型弱視鏡と同様に回旋融像域が評価可能であった.回旋融像域が小さい原因としては,ORTeと大型弱視鏡の両眼分離方法の違いがあるためと推測した.