神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
Print ISSN : 0289-7024
ISSN-L : 0289-7024
症例報告
抗MuSK抗体陽性の眼筋型重症筋無力症の1例
松尾 純子奥 英弘戸成 匡宏菅澤 淳池田 恒彦
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 38 巻 1 号 p. 37-40

詳細
抄録

 抗筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性の重症筋無力症(MG)は,病初期から球麻痺症状をきたし,眼筋型MGで留まることはまれであると報告されている.今回,抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陰性,抗MuSK抗体陽性の眼筋型MGを経験したので報告する.

 症例は64歳女性で,両眼の眼瞼下垂と複視を主訴に受診した.塩酸エドロホニウム(テンシロン)テストは陰性で抗AChR抗体も陰性であった.症状の日内変動があり,検査中に眼位が変動しやすく,MGが除外しきれず,抗MuSK抗体を測定した.抗MuSK抗体は陽性(47.5nmo/L)で,抗MuSK抗体陽性MGと診断した.全身型MGを疑い,神経内科入院となったが,正中神経と副神経の反復刺激試験は陰性,胸部CTで異常なし,明らかな全身症状はなく,眼筋型MGと診断された.プレドニゾロン内服が開始され,現在は薬理学的寛解に至っている.抗MuSK抗体陽性MGでは,まれではあるが,眼球運動系に限局した症状を呈する症例があると考えられた.

著者関連情報
© 2021 日本神経眼科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top