神経眼科
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特集
前庭障害による眼球偏倚や眼振
城倉 健
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2021 年 38 巻 2 号 p. 133-140

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抄録

 前庭由来の眼球運動の水平成分は,外側半規管から同側前庭神経核に入り,そこから交差して対側の外転神経核に至る経路が担い,眼球を対側に偏倚させる作用を持つ.前庭神経核は小脳から抑制性の制御を受けている.従って,前庭神経核の直接障害や脱抑制により,眼球は患側や健側に偏倚する.回旋成分は,前および後半規管から同側前庭神経核に入り,そこから交差して滑車神経核や動眼神経核に至る経路が担い,眼球を対側回線偏倚させる作用を持つ.従って,この経路の交差前や交差後の障害により,眼球は患側向きや健側向きに回旋偏倚する.垂直成分は,上眼瞼方向が前半規管,下眼瞼方向が後半規管からの経路に由来する.後半規管の前庭系路は,例外的に小脳からの抑制制御を受けない.こうした神経経路の直接障害や脱抑制により,上眼瞼方向や下眼瞼方向への眼球偏倚が生じる.耳石器前庭系の眼球偏倚への関与については,まだ不明な点が多い.

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