神経眼科
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特集
サッケード眼球運動系と前庭動眼反射系の共通座標系
高橋 真有
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2021 年 38 巻 2 号 p. 141-149

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抄録

 眼球運動系は,前庭動眼反射(VOR)系に代表される反射運動系と,サッケードに代表される随意性眼球運動系から成っている.VOR系は,各三半規管の刺激によって,刺激半規管と同じ平面で眼球運動が起こることから,三半規管の三次元座標系を用いていると考えられる.随意運動系では,昔からの臨床報告例で知られる脳幹の水平注視麻痺やParinaud症候で知られる中脳病変による垂直注視麻痺の症例で,水平系と垂直系の乖離が起こることから,水平・垂直の二次元座標が用いられていると考えられてきた.VOR系の中枢神経回路は詳細に明らかにされてきたが,サッケード系,特に垂直サッケード系の中枢神経回路は複雑で解析が難しく,中脳での神経回路の解析結果は研究者によって一致を見ていない.我々は,上丘から垂直サッケード系の中脳での回路を細胞内記録・染色法で明らかにし,二次元デカルト座標ではなくVORと同じ三半規管座標系を用いていることを明らかにした.水平サッケード系の左右のシステムで相反抑制があると同じように,垂直系では一側の上向き回旋系と対側の下向き回旋系の間に相反抑制が存在した.

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© 2021 日本神経眼科学会
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