2023 年 40 巻 2 号 p. 132-136
マントル細胞リンパ腫(MCL)の約70%は節外病変を有するが,眼球付属器の発症は稀である.今回,眼瞼に発生したMCLの一例を経験したので報告する.
66歳,男性.右眼瞼下垂を主訴に近医を受診し,精査目的に当科を紹介された.初診時,右眼瞼腫脹,上斜視,右眼上転制限と,複視がみられた.頭部MRIで両眼瞼に結膜下病変を認め,生検部位からマントル細胞リンパ腫と診断し,当院血液内科で化学療法を開始した.1か月後に眼瞼腫脹は改善し,複視は消失した.眼病変から見つかるMCLの頻度は稀であるが,眼瞼腫脹や複視が見られた場合,MCLも鑑別の一つとして考慮に入れるべきと考える.