心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例
外傷により発生したと思われる僧帽弁閉鎖不全の1例
山崎 元成鶴田 亮山本 平丹原 圭一菊地 慶太稲葉 博隆天野 篤
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 41 巻 4 号 p. 456-460

詳細
抄録

交通事故により発症したと思われる外傷性僧帽弁閉鎖不全に対し, 慢性期に僧帽弁弁輪形成と弁形成術を行った1例を経験したので報告する. 症例は33歳, 男性. 12年前に交通事故(自動車同士)で, 全身を強打した. 受傷の際, 腸管損傷を生じ, 開腹手術を受けた. 受傷後3年目(10年前)より動悸が出現するようになり, 近医にて不整脈, 心雑音を指摘され, 心臓超音波検査で僧帽弁閉鎖不全Ⅱ度と診断された. その後2年間は逆流はII度強へ徐々に増強していたが, 症状は落ち着いていた. 5年前から心臓超音波検査で僧帽弁逆流がIV度に増悪し, 1年前からは階段の昇降時にも軽い息切れが出現するようになり, 手術を勧められた. 術前の心臓超音波検査では, 前尖から後交連にかけての弁の逸脱を認めた. 術中所見では前尖のA3の腱索の延長と腱索一部に断裂が認められた. 人工腱索, 人工弁輪縫着, edge to edge修復術により逆流は消失した. 術後経過は順調で第10病日に軽快退院の運びとなった.

著者関連情報
© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top