抄録
症例は51歳, 女性. 修正大血管転位症(IDD型)で, 32歳時に合併していた心房中隔欠損, 心室中隔欠損, 肺動脈狭窄に対して, 欠損孔閉鎖+左室−肺動脈導管吻合術を施行されていた. 2005年から心房粗動がたびたび出現し, 心不全を繰り返していた. 2007年5月当科入院. 心電図は心拍数100回/分の頻脈で, RR間隔は整, II, III, aVF誘導で下向きの粗動波を認める2: 1の心房粗動と考えられた. 頻拍中のCARTOマッピングにて, 解剖学的僧帽弁−下大静脈峡部を時計方向回転に旋回するマクロリエントリー頻拍であることが判明し, 同峡部にカテーテルアブレーションを行ったところ, 頻拍は停止し洞調律に復することができた. 修正大血管転位症術後の心房粗動に対するアブレーション治療の報告は稀であり, 解剖学的考察を含めて報告する.