2010 年 42 巻 6 号 p. 725-730
循環器領域疾患(外科系)における喫煙の影響を調査した.
方法と対象:当施設における過去15年間の病歴から正確な喫煙歴が聴取され,かつ手術歴あるいは集中治療室に入院歴のある722例を抽出し検討した.喫煙と関連のない心臓弁手術症例を対象とした.
結果:喫煙とは関連がないと思われる弁膜症での喫煙歴が50.8%であったのに対し,ほかのすべての疾患で有意に高い喫煙歴を認めた.急性大動脈解離症例においても男女ともに有意に高い喫煙歴を認めた(解離例の喫煙歴:対照群の喫煙歴;男性96.0 vs 80%:p<0.05,女性 52.9 vs 14.3%:p<0.001).
結語:動脈硬化性疾患での喫煙の関与の高さが再認識され,さらに近年指摘されてきている急性大動脈解離と喫煙の関連も今回の検討で確認された.比較的若年発症の急性大動脈解離例は現喫煙者が多くを占めることが判明した.