心臓
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第22回 心臓性急死研究会
院外心停止の成因における冠攣縮と心室細動の重要性
高木 祐介安田 聡高橋 潤武田 守彦中山 雅晴伊藤 健太広瀬 尚徳若山 裕司福田 浩二下川 宏明
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2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_172

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抄録

目的: 器質的心疾患のない院外心停止の病態を明らかにすることを目的とした.
方法: 2004年12月から2009年3月に当科で経験した院外心停止蘇生例のうち,器質的心疾患のない連続15例(男/女14/1例,平均年齢42±13歳)に対し,発症から約1カ月後にACh負荷による冠攣縮誘発試験と,心臓電気生理学的検査(EPS)による心室細動誘発試験の両者を施行した.
結果: 全例で,冠攣縮または心室細動のいずれかが陽性であり,内訳は冠攣縮単独3例,心室細動単独3例,両者合併9例であった. 全例に植込み型除細動器(ICD)植え込みが行われ,冠攣縮陽性例では,Ca拮抗薬も併用した. 平均18カ月の観察期間で,15例中3例でICD適切作動が認められた. Kaplan-Meier曲線による解析では,1年間および2年間の心室細動再発率は,それぞれ18%,30%であった.
結語: 院外心停止の病態は多様であり,冠攣縮と心室細動の二重誘発試験を行うことは臨床上重要であると考える.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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