抄録
症例は14歳, 男性. 2005年11月ころから運動時の動悸を自覚するようになった. 動悸は数分間で自然停止し週2~3回程度出現した. 学校検診で右脚ブロック・左軸偏位の非持続性心室頻拍(NSVT)が指摘され当センターに紹介となった. ホルター心電図では日中に好発するincessant型のNSVTを32,000発/日に認め, トレッドミル運動負荷により心拍数187/分の持続性心室頻拍(SVT)へ移行した. その後verapamil 120mg/日の内服を行うも, 十分な予防効果を認めなかった. 2009年3月に施行した臨床心臓電気生理学的検査では, 右室頻回刺激により頻拍は再現性を持って誘発され, 頻拍の第1拍目は第2拍目以降と常に同一波形であり, CARTO-mapでは左室中隔を起源とし, 同心円状に興奮が伝播するfocal patternが示唆された. 体表面QRS波形に30msec先行する最早期興奮部位を焼灼したところ, repetitive ventricular responseが出現した後に頻拍は停止した. 高周波カテーテル心筋焼灼術6カ月後のトレッドミル運動負荷では頻拍が誘発されず, Holter心電図でも心室性不整脈を認めなかった. 心臓超音波検査による左室駆出率(EF)は, 術前49%から術後6カ月目には61%へと改善した.