心臓
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第22回 心臓性急死研究会
高周波カテーテル心筋焼灼術後に心機能の改善を認めた左室中隔起源のincessant型心室頻拍の1例
佐藤 嘉洋小松 隆橘 英明椚田 房紀小澤 真人中村 元行
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2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_20-S2_26

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抄録
症例は14歳, 男性. 2005年11月ころから運動時の動悸を自覚するようになった. 動悸は数分間で自然停止し週2~3回程度出現した. 学校検診で右脚ブロック・左軸偏位の非持続性心室頻拍(NSVT)が指摘され当センターに紹介となった. ホルター心電図では日中に好発するincessant型のNSVTを32,000発/日に認め, トレッドミル運動負荷により心拍数187/分の持続性心室頻拍(SVT)へ移行した. その後verapamil 120mg/日の内服を行うも, 十分な予防効果を認めなかった. 2009年3月に施行した臨床心臓電気生理学的検査では, 右室頻回刺激により頻拍は再現性を持って誘発され, 頻拍の第1拍目は第2拍目以降と常に同一波形であり, CARTO-mapでは左室中隔を起源とし, 同心円状に興奮が伝播するfocal patternが示唆された. 体表面QRS波形に30msec先行する最早期興奮部位を焼灼したところ, repetitive ventricular responseが出現した後に頻拍は停止した. 高周波カテーテル心筋焼灼術6カ月後のトレッドミル運動負荷では頻拍が誘発されず, Holter心電図でも心室性不整脈を認めなかった. 心臓超音波検査による左室駆出率(EF)は, 術前49%から術後6カ月目には61%へと改善した.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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