心臓
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第22回 心臓性急死研究会
治療開始後に心室頻拍をきたした急性副腎不全の1例
坂部 茂俊笠井 篤信杉浦 勝美藤井 太郎渡邉 清孝大村 崇河村 晃弘世古 哲哉岡 紀子安冨 眞史大西 孝宏
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2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_34-S2_38

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抄録
症例は関節リウマチの既往ある70歳代, 女性. 2009年8月16日夜, 意識障害を主訴に当院救急外来を受診. 下痢, 嘔吐があり収縮期血圧50mmHg台, 心電図は洞調律で脈拍数76/分, 北西軸でテント状T波を示した. 血液検査では低ナトリウム(119 mEq/L), 高カリウム(7.3mEq/L), 代謝性アシドーシスがあり急性副腎不全が疑われた. 大量輸液, ヒドロコルチゾン, カテコラミン投与を開始したところ, 電解質補正中にもかかわらず心電図はwide QRSとなり, その後失神, 痙攣を伴う多形性心室頻拍が出現した. 電気的除細動を行い, 血液濾過を含む治療を継続し翌日に全身状態は安定化した. 回復後に行ったACTH負荷試験の結果から副腎不全と診断した.
電解質異常が心室頻拍の直接原因だと考えたが, 心室頻拍を合併した副腎不全の報告は意外にも稀だった. 本症例では治療開始後急激に心電図波形が変化しており, 興味深いものと思われる.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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