心臓
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第22回 臨床不整脈研究会
6カ月間アミオダロンを含む保存的治療でreverse remodelingされた後に, PV isolationを行った慢性心房細動, 低心機能の1例
坂部 茂俊笠井 篤信森脇 啓至渡邉 清孝大村 崇河村 晃弘世古 哲哉
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2010 年 42 巻 SUPPL.4 号 p. S4_97-S4_102

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抄録

症例は60歳代, 男性. 2008年8月にAcinetobacter baumanniiによる市中肺炎で入院したが, この時に慢性心房細動, 左室機能低下(EF0.34), BNP値上昇(599pg/mL)がみられた. 肺炎治療と併行してロサルタン, アミオダロン, エプレレノン, カルベジロール, ワルファリンを投与したところ, 6カ月目にはLVDd/LVDs: 55/46 → 48/28mmに改善し, BNP値は85pg/mLに低下した. 9カ月目に自然に洞調律がみられるようになり, 高周波カテーテルアブレーション(PV isolation)を行い, 11カ月間洞調律を保っている. 心房径は47 → 38mmに縮小し, BNP値はさらに低下し29pg/mLになった. 本例のようなreverse remodelingが期待できる頻脈誘発性心筋症ではカテーテルアブレーションにアミオダロンを含む薬物治療を先行させることで, より高い治療効果が得られる可能性があり, 示唆に富む1例と考える. また余談であるが, 市中Acinetobacter baumannii肺炎は, 海外(国内報告1例)で担癌患者, 慢性呼吸器疾患患者, ヘビースモーカー, 大酒家, 心不全患者に発症することが報告されており, 慢性心房細動を基礎疾患に持つ本例に発症したことは非常に興味深い. これについても言及する.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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