心臓
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症例
緊急経皮的冠動脈インターベンションを順行性大動脈内バルーンパンピング(右上腕動脈アプローチ)下に行い, 慢性期に血管内治療にて良好な血管の再建に成功した腹部大動脈完全閉塞(Leriche’s syndrome)の1症例
川島 理阿部 秀樹桜井 美恵大友 達志
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2011 年 43 巻 2 号 p. 210-215

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抄録

症例は62歳, 女性. 2007年秋より歩行時の跛行があったが関節リウマチのためと思い放置していた. 2009年7月, 深夜より胸背部痛を自覚し, 改善しないため翌日近医受診した. 近医での心電図で, 急性心筋梗塞が疑われ当院紹介となる. 来院時血圧106/66mmHg. 緊急冠動脈造影にて左前下行枝(#7)に血栓性の閉塞を認め緊急冠動脈インターベンションを施行した. 血栓吸引後ステント留置し終了した. 冠動脈インターベンション終了後も血圧が80/44 mmHgとショック状態で遷延しているため, 大動脈内バルーンパンピングの挿入をはかるも両鼠径部の動脈を触知できなかった. 腹部大動脈造影にて腹部大動脈完全閉塞と判明した. 右上腕動脈より順行性に大動脈内バルーンパンピングを挿入し血行動態の安定化を図った. 翌日のpeak CPKは1,813 IU/Lであった. 順調に経過し, 第18病日に一時退院可能となった. 第41病日に腹部大動脈閉塞病変加療目的に血管内治療を施行し, SMART stent 10/60mmを留置して良好な開大に成功した. その後の経過は良好で, 歩行時跛行も消失し, 術後7日目に退院となった.

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