心臓
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基礎研究
セリウムを陽極に用いた微小血管造影法
田中 千陽池谷 義守静間 徹福山 直人小林 昭上田 敏彦盛 英三
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2012 年 44 巻 11 号 p. 1372-1377

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抄録

近年,血管病変の治療法が進化するにつれ,微小血管評価法の検討が必要になってきている.今回は3つの病院設置型微小血管造影装置について概説する.
最初の装置としてコンピュータ断層撮影法(computed tomography;CT)用X線源と高精細超高感度検出器を用いた造影装置を開発した.しかし,金属フィルターにより大幅なX線の低線量化を伴ったため,対象は下肢などの体厚の薄い部位に限定された.
そこで,セリウムを用いた微小血管造影法の開発を試みた.通常用いられているタングステンに比較し,セリウムの特性X線は造影剤の主成分であるヨードのK吸収端に近く,微量ヨードの造影を可能にすると考えられたためである.
まずセリウムプラズマを用いて,その特性X線を多く含むX線を放出する装置を開発した.イヌ心臓冠動脈に高濃度ヨードを充塡したファントムを作成し,このセリウムプラズマX線造影装置にて撮影した.結果,冠動脈の第3分枝までの可視化が可能であった.しかし,X線フォトン数の限界から,心臓などの体厚の厚い部位の臓器には応用が困難であった.
次にセリウム陽極を回転させることで高輝度を可能とする回転セリウム陽極X線装置を試作した.本試作装置では200KHU(kilo heat unit)のX線発生装置を用いた.本装置でも直径50μmほどの冠動脈第3分枝までの可視化が可能であったが,やはり体厚15cmの部位の臓器までの造影に限定された.しかし,回転セリウム陽極X線装置は,X線発生装置を高熱容量のものと置換することで,容易に高輝度化が可能である.今後,臨床応用可能な微小血管造影装置の開発が期待できる.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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