2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_142-S2_150
症例は49歳,男性.父が33歳時に突然死した.20歳時より高血圧に対して,また,32歳ころより発作性心房細動に対して近医で薬物療法が開始された.発作性心房細動の頻度および持続時間が増加したため,カテーテルアブレーション目的に入院した.入院後,両側肺静脈隔離術を施行.術翌日より発熱,胸痛が出現し心膜炎と診断し,NSAIDsの投薬を行った.術2日後の深夜および未明に心室性期外収縮から心室細動となり停止に自動体外式除細動器(AED)を要した.心室細動発症直前に全誘導でJ波の著明な増高を認めた.一時的ペースメーカー留置,イソプロテレノール持続静注にて心電図変化は徐々に改善し,その後,不整脈イベントを認めなかった.ピルジカイニド負荷試験は陰性.心臓MRIでは左室後壁から側壁にかけて脂肪線維変性,遅延造影効果を認めた.植込み型除細動器(ICD)植え込み術を施行した.心房細動に対するカテーテルアブレーション後に発症したJ波症候群の1例を報告する.