心臓
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第24回 心臓性急死研究会
心室細動を惹起する肺動脈起源心室性期外収縮に対する焼灼術が著効した特発性心室細動の1例
椚田 房紀夛田 浩関口 幸夫黒木 健志山崎 浩油井 慶晃中野 恵美井藤 葉子五十嵐 都金城 貴士吉田 健太郎青沼 和隆
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2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_30-S2_35

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抄録

症例は40歳,男性.2011年4月に夜間,飲酒していて突然意識消失発作を起こした.救急隊によるモニター心電図で心室細動(VF)が確認され,自動体外式除細動器(AED)を施行され,洞調律に復帰した.頭部MRIや脳波検査,心エコー図で異常みられなかった.冠動脈造影検査で有意狭窄なかったが,アセチルコリン負荷試験で左冠動脈の広範な狭窄と回旋枝の閉塞がみられた.冠攣縮性狭心症の診断でカルシウム拮抗薬内服による薬物治療を開始した.植込み型除細動器(ICD)の植え込み術を行い退院している.退院約1カ月後に階段を駆け上った後に意識消失し,ICDが作動した.このときのICDの記録から心室期外収縮(VPC)からVFが確認され,ショックで洞調律に戻っていた.運動負荷心電図で下方軸,左脚ブロックタイプのVPCが確認された.トリガーとなっているVPCに対しカテーテルアブレーションを行った.Pace mapの一致する部位は肺動脈内中隔側であり同部の通電で,その後VPCは出現せず,後の運動負荷心電図でもVPCは起きなかった.肺動脈内に起源を有するVFでアブレーションが有効であった症例は稀と考えられた.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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