2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_30-S2_35
症例は40歳,男性.2011年4月に夜間,飲酒していて突然意識消失発作を起こした.救急隊によるモニター心電図で心室細動(VF)が確認され,自動体外式除細動器(AED)を施行され,洞調律に復帰した.頭部MRIや脳波検査,心エコー図で異常みられなかった.冠動脈造影検査で有意狭窄なかったが,アセチルコリン負荷試験で左冠動脈の広範な狭窄と回旋枝の閉塞がみられた.冠攣縮性狭心症の診断でカルシウム拮抗薬内服による薬物治療を開始した.植込み型除細動器(ICD)の植え込み術を行い退院している.退院約1カ月後に階段を駆け上った後に意識消失し,ICDが作動した.このときのICDの記録から心室期外収縮(VPC)からVFが確認され,ショックで洞調律に戻っていた.運動負荷心電図で下方軸,左脚ブロックタイプのVPCが確認された.トリガーとなっているVPCに対しカテーテルアブレーションを行った.Pace mapの一致する部位は肺動脈内中隔側であり同部の通電で,その後VPCは出現せず,後の運動負荷心電図でもVPCは起きなかった.肺動脈内に起源を有するVFでアブレーションが有効であった症例は稀と考えられた.