心臓
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第24回 心臓性急死研究会
冠攣縮が濃厚に関与したと思われる早期再分極所見をもつ心室細動の2例
坂部 茂俊森 一樹森脇 啓至里見 明俊杉本 匡史掘口 昌秀高村 武志河村 晃弘世古 哲哉笠井 篤信
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キーワード: 心室細動, 冠攣縮, J波
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2012 年 44 巻 SUPPL.2 号 p. S2_76-S2_81

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抄録

症例1:40歳代,女性.過去の健診心電図でV4~5誘導に早期再分極(early repolarization findings;ER) 所見を認める.某日昼間に失神し当院に搬送された.救急処置室で心室細動(ventricular fibrillation ;VF) が認められ電気的除細動をうけた.虚血が疑われたため,緊急冠動脈造影検査を行ったところ左冠動脈主幹部から左前下行枝近位部に攣縮が認められた.
症例2:60歳代,男性.濃厚な突然死の家族歴あり.某日作業中に眼球上転を伴う短時間の失神あり,心臓性失神の可能性が高いと判断された.心電図にはII,III,aVF誘導にER所見があった.器質的異常はなかったがエルゴノビン負荷試験で冠攣縮が誘発された.両症例に薬物療法を行い,症例2に植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD) を移植した.
まとめ:ER所見は特発性心室細動(idiopathic ventricular fibrillation;IVF) との関連が指摘されているが,ER所見をもつVFの中には,虚血イベントに容易にVFを合併する電気的特性をもつものが含まれる可能性を示唆する.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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