心臓
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症例
スルピリドによるQT延長症候群からtorsades de pointesを呈した1例
押田 裕喜丹下 正一宇居 吾郎庭前 野菊小野 洋平
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2013 年 45 巻 4 号 p. 418-423

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抄録
 Torsades de pointes (TdP) から心室細動を呈した原因として, スルピリドによるQT延長症候群 (入院時QTc 554msec, 蘇生直後QTc 600msec) が原因と考えられた1例を経験した. 症例は70歳代前半の男性, 14年前に血液透析の導入とインスリン治療が開始されていた. 1カ月前より浮動性眩暈と食欲減退および低血糖 (随時血糖 : 53mg/dL) があり傾眠傾向で前医に入院, 意識障害精査加療のため, 当院内科に転院した. 第3病日髄液穿刺後にTdPから心室細動に移行し自動式体外除細動器 (automated external defibrillator ; AED) で除細動された. 当院転院13日前よりスルピリド150mg/日を内服しており, 中止3日後の血中濃度が1.24μg/mLと高値で50mg錠の最高血中濃度 (0.16μg/mL) の約8倍, 治療域上限 (0.58μg/mL) の約2倍であったことから, 薬剤性の意識障害およびQT延長症候群と診断した. 術後も低血圧が遷延, コルチゾール : 1.0μg/dL, ACTH : 7pg/mLと副腎不全が判明, 入院前の低血糖や精神症状も副腎不全の症状と推察された. スルピリドを投与する前に器質的疾患による精神症状を除外することが重要であり, 投与する際には腎機能を勘案して減量し, 錐体外路症状・QT延長症候群などの発生に注意を払う必要がある.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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