心臓
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第26回 心臓性急死研究会
完全大血管転位の心房スイッチ術後26年目に心室細動にて蘇生された1例
小川 陽子澤田 三紀芳本 潤阪田 純司松前 宏信竹内 泰代藤田 真也森脇 秀明鏑木 敏志吉田 裕土井 修野々木 宏小野 安生神原 啓文
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2014 年 46 巻 SUPPL.2 号 p. S2_140-S2_147

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抄録
 近年, 先天性心疾患術後の成人症例が増加している. 遠隔期には心不全や不整脈をきたす例も多く管理には留意が必要であるが, 疾患特性により通常とは異なる検討が必要な場合も多い. 今回, 経過観察目的のホルター心電図施行中に心室細動 (VF) を発症, 蘇生後に経静脈的に左心室へ植込み型除細動器 (ICD) リードを留置した症例を経験したため報告する.  症例は26歳男性. 完全大血管転位にて乳児期に心房スイッチ術, 19歳時に三尖弁置換術を施行し当院で経過観察されていた. 26歳時, 出勤中に心肺停止 (CPA), 救急搬送先の病院で自己心拍再開した. ホルター心電図にて, 洞性頻脈から心房細動を経て心室頻拍さらに心室細動への移行が確認された. 蘇生後脳症はなく, ICD植込み目的に当院へ転院. 上記術後にて構造変化および術後癒着があり, 心外膜と経静脈的アプローチの双方を検討, 後者の適応と判断した. 右鎖骨下静脈穿刺にて, ロケーター付きスタイレットを用いてシングルコイルリードを右心房, さらに解剖学的左室へと進めて留置した. 術後経過良好でアミオダロン内服下に社会復帰している.  先天性心疾患術後のICD植え込みの際は手術歴と解剖についての詳細な検討が必要である.
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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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