心臓
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第27回 臨床不整脈研究会
異なる心房最早期興奮部位を併せ持ったATP感受性心房頻拍の1例
豊田 康豪榎本 善成佐原 尚彦高木 高人楢林 ゆり子橋本 晃伊藤 尚志久次米 真吾坂田 隆夫野呂 眞人杉 薫
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2015 年 47 巻 SUPPL.2 号 p. S2_92

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抄録

 症例は74歳女性. 2013年夏頃より労作時に動悸を自覚するようになり近医を受診し, 心拍数150回/分の発作性上室性頻拍 (PSVT) を認めたため当院に紹介受診となった. EPSを施行したところ, 頻拍は心房からのプログラム刺激で再現性をもって誘発停止可能であった. 頻拍は明らかなJump-up現象は伴わず誘発され, 心房最早期興奮部位が冠静脈洞入口部である心房頻拍 (AT) であった. 頻拍中にATP 5mgを投与すると再現性をもって頻拍は停止した. 心房最早期興奮部位での焼灼では頻拍の停止に至らず, 解剖学的slow pathway領域を焼灼したところ頻拍は停止した (AT①). その後再度心房からのプログラム刺激で, 洞結節近傍の高位右房に最早期興奮部位を持つ別のAT (AT②) を認めるようになった. Ensite Array system下での最早期興奮部位を参考に繰り返し焼灼を行ったところAT②についても誘発は認められずsession終了とした. 異なる最早期興奮部位を有するATP感受性心房頻拍の1例を経験したため文献的考察を加え報告する.

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© 2015 公益財団法人 日本心臓財団
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