心臓
Online ISSN : 2186-3016
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[症例]
反復性運動後失神の原因と考えられる左室流出路狭窄を, イソプロテレノール負荷左室-大動脈同時圧測定で証明しえた潜在性閉塞型S字状中隔の1例
矢崎 恭一郎森 文章網代 洋一渡邉 真広塚本 圭齋藤 貴士溝渕 景子岩出 和徳
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2016 年 48 巻 9 号 p. 1043-1048

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抄録

 症例は高血圧歴を有する64歳男性. 繰り返す運動後失神を認めたため精査加療入院となった. トレッドミル, ホルター心電図, 各種画像検査では失神をきたすような不整脈や器質的心疾患は認められなかった. 心エコー上S字状中隔を呈していたが左室内に加速血流は認めなかった. 心臓カテーテル検査にて左室-大動脈同時圧測定を行った. 安静時には同様に圧較差を認めなかったが, イソプロテレノール (ISP) 0.01μg/kg/分にて平均圧較差53.2mmHgが顕在化し, 同時に施行した左室造影では僧帽弁閉鎖不全がⅢ度に増悪した. その他の検査所見と併せ, 運動後失神としての原因はS字状中隔による流出路狭窄の顕在化と判断した. β遮断薬内服および生活指導を行い, 以後半年間失神や前失神は認めていない. ISPやドブタミン負荷で圧較差が顕在化するS字状中隔症例を経験するが, 本症例のように左室-大動脈同時圧測定により直接証明しえた症例は貴重であるため, ここに報告する.

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© 2016 公益財団法人 日本心臓財団
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