2017 年 49 巻 10 号 p. 1049-1054
症例は75歳男性.以前より心不全を繰り返し,治療を受けていた.今回,同様に心不全をきたし当院入院,精査により部分肺静脈還流異常症の診断であった.右房は著明に拡大しており,ePTFEパッチによる心房内血流転換のみで手術を終えることが可能であった.術前から,右心不全の状態であり,また高齢者ということもあり,退院まで16日を要したものの,独歩にて退院した.老年期に診断される部分肺静脈還流異常症は稀であり,手術による心不全症状の改善が認められた1例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.