心臓
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[症例]
Barlow症候群に対してda Vinci Surgical Systemを用い完全内視鏡下僧帽弁形成術を施行した9例の検
捶井 達也石川 紀彦堀川 貴史瀬口 龍太木内 竜太富田 重之大竹 裕志河内 賢二渡邊 剛
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2017 年 49 巻 10 号 p. 1056-1061

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抄録

 Barlow症候群は両弁尖に高度な粘液腫様変性による肥厚を特徴とする僧帽弁閉鎖不全症であり,僧帽弁形成術は困難である場合が多い.しかし弁尖の形態を正確に評価し弁形成を行うことで,Barlow症候群に対しても弁形成術は可能である.また我々はda Vinci Surgical System(da Vinci)を用いた完全内視鏡下の僧帽弁形成を行っており,Barlow症候群に対しても積極的に行っている.

 方法:今回当院で経験したBarlow症候群に対するda Vinciを用いた僧帽弁形成術9例(男/女;6/3例,平均52.6歳,について検討した.手術は完全体外循環のもと,右胸壁の4つのポートからda Vinciを用いて僧帽弁形成術を行った.

 結果:平均手術,人工心肺,大動脈遮断時間は223分,138分,76分であった.形成方法はArtificial neochordae 7例,Resection and Suture 3例,Folding plasty 3例,edge-to-edge 1例であった.使用した人工弁輪のサイズは34 mmが5例,32 mmが4例であった.全例人工心肺からの離脱に問題はなく,術当日に抜管し,翌日からリハビリテーションを開始した.全例で術後当日に抜管し,術後10.7日目に退院した.術後の心臓超音波検査では全例逆流に消失を確認した.

 結語:da Vinciを用いた僧帽弁形成術は正中切開を回避できるため低侵襲であり,3次元画像と自由度の高い鉗子により術者の意図した形成術を行うことができる.そのため今回da Vinciを用いた完全内視鏡下でBarlow症候群に対する僧帽弁形成術は,良好な結果が得られたと考える.

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