2017 年 49 巻 10 号 p. 1063-1069
症例は66歳男性.前胸部違和感のため施行したCTにて下行大動脈右背側に腫瘤性病変を認め,炎症反応も高値であった.造影MRIにて下行大動脈右側壁から造影剤の漏出を認めsealed ruptureが疑われた.血液培養は陰性でPET/CTにて下行大動脈に沿ったmassに強い集積を認め,他臓器に活動性炎症を示唆する集積は認めなかった.待機的に下行大動脈置換術を施行したが,血液検査にてIgG4 224 mg/dL,血管壁組織検査ではIgG4陽性形質細胞が無数に認められIgG4関連疾患の確定診断に至った.IgG4関連疾患による炎症性大動脈瘤は稀な疾患であるが致死的となり得る重要な疾患である.今回sealed ruptureを契機にIgG4関連疾患と診断された症例を経験した.