心臓
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[症例]
妊娠第14週で亜広範型肺血栓塞栓症を発症した1
湯澤 尚子佐藤 伸孝関山 裕士村嶋 英達堤 穣志稲田 慶一野田 一臣森 力芝田 貴裕吉村 道博
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キーワード: 肺血栓塞栓症, 妊娠, 造影CT
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2017 年 49 巻 10 号 p. 1070-1075

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抄録

 1経妊1経産の30歳妊婦.妊娠14週に労作時呼吸困難を認め当院を受診した.低酸素血症,D-ダイマー高値,心エコー上右心負荷所見を認め,肺血栓塞栓症が疑われた.しかし,本人のCT検査の同意が得られず,胸部MRI検査を施行した.両側肺動脈に血栓を認め,急性肺動脈血栓塞栓症(亜広範型)と診断した.同日施行した下肢静脈エコーでは深部静脈血栓症を認めず,プロテインS活性以外の先天性因子の異常は認めなかった.

 入院後より未分画ヘパリンによる抗凝固療法を開始し,その後は低酸素血症,自覚症状の改善を認めた.画像検査上も心エコーで右心負荷所見の消失,MRIで血栓の著明な縮小を確認した.妊娠継続のためヘパリン自己注射へ切り替え,その後症状の悪化なく退院した.

 妊婦に合併した急性肺動脈血栓塞栓症の診断・治療に関してのエビデンスはない.妊娠における特殊性を考慮し診断治療を行う必要があると考えられた.

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© 2017 公益財団法人 日本心臓財団
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