心臓
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[症例]
ヘパリンカルシウム自己注射が有効であった深部静脈血栓症合併妊娠の1例
西田 耕太落合 幸江三浦 要平川合 暢田川 実中村 裕一加藤 政美
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2017 年 49 巻 3 号 p. 248-252

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抄録

 症例は30歳,女性.2014年6月(妊娠10週6日),左下肢腫脹・疼痛が出現し歩行困難となった.症状出現から10日後(妊娠12週2日),当院産婦人科定期受診の際にDダイマーの軽度上昇を認め,下肢静脈エコー検査を実施した.左大腿静脈に血栓を認め,深部静脈血栓症の診断で当科に入院となった.経胸壁心臓超音波検査にて右心負荷所見を認めず,臨床的に問題となる肺血栓塞栓症の合併は否定的であった.未分画ヘパリン持続注射を開始し,深部静脈血栓症の症状消失後ヘパリンカルシウム皮下注の自己注射に切り替え継続した.出産予定の2週間前には血栓はほぼ消失し,分娩時もIVC filterを留置することなく無事経腟分娩にて出産した.初乳授乳後断乳の上,ワルファリンに変更し,血栓の再発を認めずに経過している.深部静脈血栓症を合併した妊婦に対して,ヘパリン自己注射は有効であると考えられた.

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