2019 年 51 巻 1 号 p. 98-103
症例は大動脈弁狭窄症の診断で紹介された無症候性の80歳女性.術前冠動脈造影で重複左前下行枝を疑い,心臓断層撮影検査(CT)を施行し,重複左前下行枝の確定診断を得た.重複左前下行枝はtype 4で右冠動脈起始部より1.5 mmの部位から左前下行枝長枝がほぼ直角に分岐する形態であった.冠動脈走行と心臓各部位との立体的把握において,心臓CTが有用であった.大動脈弁置換術に際しては心筋保護には工夫を要したが,術中・術後の虚血性イベントは認めなかった.