心臓
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[症例]
12誘導心電図から右室流出路起源と推測されたが,右冠尖からの通電で根治し得た心室期外収縮の1例
小川 聡山口 和重夏山 謙次西田 育功
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2019 年 51 巻 5 号 p. 536-542

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抄録

 症例は55歳男性.頻発する単源性心室期外収縮(PVC)と心エコー図で左心機能低下と左室拡大を認め,頻発性PVCに対するカテーテルアブレーション目的で入院した.12誘導心電図は左脚ブロックパターン 下方軸 移行帯はV4で,右室流出路(RVOT)起源のPVCと診断された.右室内のmappingでは早期性および良好なpace mapが得られず,右冠尖(RCC)のmappingでPVCのonsetから22 msec先行するprepotentialを認め,同部位の通電によりPVCの完全消失に至った.12誘導心電図はRVOT起源のPVCと予測されたが,本例はRCC起源のPVCであった.12誘導心電図によるPVCの局在診断の文献は散見されるが,RVOT起源PVCとRCC起源PVCの鑑別が困難な場合がある.RVOT起源と考えられるPVCであっても,先行するpotentialが同定できない場合は,すみやかにRCC内のmappingを行いprepotentialを同定する必要性がある症例を経験したため報告する.

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© 2019 公益財団法人 日本心臓財団
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