心臓
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[症例]
大動脈弁交連部直下左心室瘤を伴った高安動脈炎大動脈弁閉鎖不全症に対する外科治療
神吉 和重藤井 明
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2020 年 52 巻 1 号 p. 75-78

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抄録

 症例は60歳女性,労作時の呼吸困難感を主訴に他院を受診し,大動脈弁閉鎖不全症と診断された.心不全の発症後に繰り返す尿路感染症と眩暈症状で手術を二度延期した.大動脈弁交連部直下に大豆大の左心室瘤を合併しており,手術は自己心膜を用いた大動脈弁形成術(尾崎法)と,左心室瘤パッチ閉鎖術を施行した.術中所見で,上行大動脈の著明な浮腫と肥厚を認め,術前経過と合わせて,高安動脈炎と診断した.術後は早期にプレドニゾロンの内服を行って炎症反応を抑制した.術前に高安動脈炎の診断が得られなかった大動脈弁閉鎖不全症で,大動脈弁交連部直下左心室瘤を合併した極めて稀な症例であった.

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