心臓
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[症例]
14年間の追跡で腹腔動脈に狭窄病変が無症候性に出現した複数内臓動脈系線維筋性異形成症の1例
八木 麻里子南部 鴻介金田 朋也山上 幹髙田 睦子東方 利徳木村 圭一飯野 賢治湯淺 豊司
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2020 年 52 巻 11 号 p. 1283-1288

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抄録

 55歳女性.34歳から高血圧を認めた.42歳時に腎動脈狭窄,腎動脈瘤,上腸間膜動脈瘤と複数の血管病変を認め,特徴的な画像所見から線維筋性異形成症と診断した.43歳時に左腎動脈瘤切除および腹部大動脈─左腎動脈バイパス術を施行し,46歳時に右腎動脈狭窄に対して経皮的腎動脈形成術(PTRA)を施行した.上腸間膜動脈瘤は緩徐な軽度の増大にとどまったが,54歳時に突如腹腔動脈近位部に狭窄病変が出現した.無症候のまま狭窄は高度に進行し,上腸間膜動脈からの側副血行の発達を認めた.

 複数の血管を侵す可能性のある線維筋性異形成症においては,画像検査による長期の定期的な追跡評価が重要であると思われた.

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© 2020 公益財団法人 日本心臓財団
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