55歳女性.34歳から高血圧を認めた.42歳時に腎動脈狭窄,腎動脈瘤,上腸間膜動脈瘤と複数の血管病変を認め,特徴的な画像所見から線維筋性異形成症と診断した.43歳時に左腎動脈瘤切除および腹部大動脈─左腎動脈バイパス術を施行し,46歳時に右腎動脈狭窄に対して経皮的腎動脈形成術(PTRA)を施行した.上腸間膜動脈瘤は緩徐な軽度の増大にとどまったが,54歳時に突如腹腔動脈近位部に狭窄病変が出現した.無症候のまま狭窄は高度に進行し,上腸間膜動脈からの側副血行の発達を認めた.
複数の血管を侵す可能性のある線維筋性異形成症においては,画像検査による長期の定期的な追跡評価が重要であると思われた.