心臓
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[臨床研究]
冠動脈造影で評価されたType 1心筋梗塞症例とType 2心筋梗塞症例の特徴の相違と予後
浪打 成人砂村 慎一郎牛込 亮一野田 一樹瀧井 暢
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2020 年 52 巻 4 号 p. 398-404

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抄録

 背景:心筋梗塞のUniversal definitionは2012年に第3版,2018年には第4版に改訂され,欧米の臨床研究で用いられている診断基準である.Type 1心筋梗塞は動脈硬化性プラーク破綻と血栓形成で定義され,Type 2心筋梗塞は酸素供給と需要のインバランスを原因とすると定義され,冠攣縮や冠解離,冠塞栓などが含まれる.Type 1心筋梗塞に比較してType 2心筋梗塞の予後が不良であることが報告されているが,日本からの同様の報告はない.Type別の心筋梗塞の院内予後および長期予後について調査した.

 方法:2012年から2017年までに当院で加療したThird universal definitionにより定義された初回心筋梗塞連続591症例のうち,冠動脈造影で判定したType 1心筋梗塞481症例とType 2心筋梗塞72症例を対象とし,患者背景・臨床経過・院内予後・長期予後を比較した.

 結果:Type 2心筋梗塞には冠攣縮63症例,冠塞栓6症例,特発性冠動脈解離3症例が含まれていた.Type 2心筋梗塞症例はType 1心筋梗塞症例に比較して若年で冠危険因子の罹患率が低く,来院時の重篤度は軽く,peak CK値は低く,院内死亡率は低い傾向にあった.しかし平均561日の観察期間で主要有害心イベント(全死亡・急性冠症候群発症・心不全入院)についてType 1とType 2心筋梗塞症例に差を認めなかった.

 結論:冠動脈造影により評価されたType 1とType 2心筋梗塞症例の予後は同等であった.

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© 2020 公益財団法人 日本心臓財団
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