症例は59歳男性,入院3日前より感冒症状を自覚し近医受診した.その後,ふらつき,倦怠感が出現し当院へ受診した.血圧79/60 mmHg,脈拍114/分,12誘導心電図で広範なST上昇を認め,左室駆出率20%の全周性壁運動低下と心嚢水を認めた.心筋梗塞の疑いで緊急冠動脈造影を施行したが,冠動脈は正常であったため,心筋生検を施行した.肺動脈カテーテルでは肺動脈楔入圧21 mmHg,肺動脈圧26/19 mmHg(平均肺動脈圧22 mmHg),右房圧21 mmHg,心係数1.64 L/分/m2,混合血酸素飽和度48%であった.心原性ショックと診断しIMPELLA CPと強心薬を使用することで心係数は2.8 L/分/m2へ上昇した.循環動態の維持に必要な心拍出量を確保したことで多臓器障害を認めず,心機能の経時的な回復を認めた.第6病日にIMPELLA CPを離脱し,第21病日に自宅退院となった.病理診断の結果,急性ウイルス性心筋炎と診断した.IMPELLAの劇症型心筋炎に対する有用性を示すエビデンスはまだ乏しいが,早期に導入し適切な補助流量を維持することで生存率の改善が期待される.本症ではIMPELLA CPの導入により劇症型心筋炎から回復した1例を経験したため文献的考察を加えて報告する.