2024 年 56 巻 2 号 p. 155-158
42歳,男性.呼吸困難を初発症状とし,その後発熱が続くも,COVID-19陰性で経過観察となっていたが,急性呼吸不全でECMO装着となった.感染性心内膜炎および急性僧帽弁逆流とそれによる急性肺水腫と診断し,準緊急で僧帽弁置換術を施行した.肉眼的には疣贅や弁破壊はなく,後乳頭筋が完全断裂していた.病理所見より,敗血症から徐々に乳頭筋梗塞,壊死を起こし断裂したと推測された.急性僧帽弁逆流による急性肺水腫であった.抗菌薬投与にて敗血症は制御されたが,下肢コンパートメント症候群を併発し治療に時間を要した.