心臓
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[症例]
心不全をきたした偽性アルドステロン症の1 例
門倉 眞由山家 実佐藤 司黒瀬 裕樹長谷川 薫菊田 寿住吉 剛忠関口 祐子亀山 剛義小丸 達也熊谷 浩司
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2025 年 57 巻 5 号 p. 497-502

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抄録

 症例は80歳代,女性.主訴は呼吸困難感と両上肢痛.既往歴にはうつ病があり,これまで心疾患の既往はなかった.X年Y月下旬に両下肢の浮腫および疼痛のため近医にて利尿薬および芍薬甘草湯の内服が開始された.しかし,その後も症状改善せずY+1月下旬には両上肢痛も出現し体動困難となり,当院に救急搬送となった.来院時血圧171/99 mmHgと高値であり,体重は1カ月で7 kg増加していた.診察では頸静脈怒張および著明な四肢浮腫がみられた.胸部X線写真では心陰影拡大と左胸水を認め,心電図ではT波の平低化とU波を認めた.血液検査ではK1.6 mEq/Lと低カリウム血症を認め,BNP 254 pg/dLと高値であった.血液ガス分析では代謝性アルカローシスを呈していた.入院後,低カリウム血症の原因と考えられた内服薬の中止を行い,カリウム補正と心不全治療を開始した.併せて低カリウム血症の原因精査を行ったところ尿中カリウム排泄量の増加と血漿レニン活性低下,血漿アルドステロン低値を認め,内服内容と併せて偽性アルドステロン症と診断した.入院後,カリウム値は正常範囲内まで改善し浮腫も改善,入院17日目独歩退院となった.通常,偽性アルドステロン症による体液過剰では,Na利尿ペプチドの増加や腎でのNa再吸収抑制といったエスケープ現象による代償機転が働くため著明な浮腫や心不全をきたさないとされる.本症例では,うつ病の既往があり,長期間食事摂取不良であったため,低栄養状態となっていた.体液貯留傾向が強く,十分な代償機転が働かず,体液過剰となり肺うっ血をきたしたと考えられる.偽性アルドステロン症でも体液過剰となる基礎疾患を持つ症例では,肺うっ血にも十分な注意が必要である.

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