心臓
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症例 Pulmonary varixの3症例
特に非侵襲的検査の有用性を中心に
瀧島 輝雄佐久間 肇田嶋 経躬沖本 孝雄山本 恵一郎土肥 豊
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1982 年 14 巻 6 号 p. 761-766

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抄録

僧帽弁疾患に合併した肺静脈瘤の3例を経験した.症例1は44歳男性,僧帽弁閉鎖不全症,胸部X線上心陰影の右第1弓に重なった鶏卵大円形陰影を認めた.症例2は59歳女性,僧帽弁狭窄症.症例3は84歳女姓,僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症.症例2,3の胸部X線では心陰影の右第2弓より突出した円形陰影を認めた.3症例とも胸部X線上,第1斜位や側面像で円形陰影がより明瞭に認められた.胸部断層像でも充実性円形~楕円形の陰影として認めた.99mTC-RBCによるRI angiographyではこれらの円形陰影は症例1と3では肺静脈の左房への流入部に一致,また症例2では左房よりやや離れた肺静脈に一致した. 症例1と3のCT scanでは造影剤でenhanceすると左房陰影に近接連続した肺静脈の拡張が認められた.3例とも肺血管撮影の静脈相に一致し肺静脈瘤と診断された. 以上のごとく, 肺静脈瘤の診断には非侵襲的検査(特にCT scan)がきわめて有力であると示された.

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