心臓
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臨床 一地方病院における心筋梗塞慢性期の突然死,特に瞬間死の検討
茅野 眞男西川 邦小島 昌治薄葉 文彦後藤 敏夫
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1983 年 15 巻 5 号 p. 550-556

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抄録
突然死例では状態の急変から一般にどのくらいの時間で心停止してくるのかを知ることは,救急医療にとって重要であるが,本邦での検討は少ない.われわれは心筋梗塞の診断で退院した216例に追跡調査(平均4.3年)を行った.心臓死は34例で,うち29例が24時間以内に死亡(突然死)した.突然死を症状発現から心停止までの時間により,1分以内の死亡(瞬間死)16例と,数分から24時間以内の死亡(急死)13例とに2分した.心筋梗塞後に労作性狭心症または失神を有する例は,急死より瞬間死で死亡することが多かった(P<0.01).また,突然死例中前壁梗塞の既往のある例では急死より瞬間死を起こしやすかった(P<0.01).一方冠動脈狭窄所見,Holter心電図所見は,急死,瞬間死群間で差がなかった.瞬間死は75%の例で,午前6~9時と午後6~9時の6時間の間に発生した.以上のように突然死例中瞬間死が55%も占めることを踏まえて,今後の救急医療体制の整備が望まれよう.
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