抄録
胸痛症候群(I群)14例,狭心症(II群)15例,陳旧性心筋梗塞(III群)17例の計46例を対象として,心房性期外収縮(APB)に続くpostextrasystolicbeatとAPB直前のcontrol beatを,血行動態および左室容量から比較検討した.左室拡張終期圧および大動脈収縮期圧は変化せず,大動脈拡張期圧は有意(p<0.001)に低下し,左室max dp/dtは有意(I,II群p<0.01,III群p<0.02)に増加した.左室拡張終期容量はI群では有意(p<0.01)に増加し,左室収縮終期容量はII群(p<0.05)およびIII群(p<0.01)で有意に減少した.1回拍出量は有意(I群p<0.01,II,III群p<0.001)に増加し,左室駆出分画も有意( I 群p <0.01, II, III群p <0.001)に増加した.これらの成績は,APBによっても明らかにpostextrasystolic potentiation( PESP ) がおこることを示している.しかし,血行動態や左室容量などのようなglobal functionからみる限りでは,APBによるPESPからは,虚血性心疾患の有無や重症度を判別し得ない.