心臓
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症例 衝心脚気の1症例
角 田裕笠井 篤信長野 公昭牧野 克俊海野 雅澄森本 美典小野 直見西川 英郎
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1988 年 20 巻 6 号 p. 745-752

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抄録

サイアミン静脈内投与により,臨床症状の著明な改善が得られた乳酸性アシドーシスを合併した,衝心脚気の1例を報告する.患者は41歳の男性で,シ3ック,チアノーゼ,呼吸困難,胸痛,浮腫のため入院した.血中乳酸,ピルビン酸の増加,ビタミンB1の低下,動脈血ガス分析でHCO3の低下,aniongapの増加を認め,乳酸性アシドーシスを合併した衝心脚気と診断された.乳酸の蓄積は偏食,摂取エネルギーの不足,ビタミンB1不足によるmetabolicblock,およびショックによる組織の低酸素症により発生したと推定される.晦行力学的には高心拍出量性心不全,末梢血管抵抗の低下およびUCGより右室拡大が著明で,心室中隔が左室側へ圧排された結果,左室拡張障害が招来され,肺動脈模入圧の上昇の一原因となった逆バーンハイム効果を認めた.本例のように乳酸性アシドーシスを合併した衝心脚気は,現在までに7例の報告をみるのみで,30~40歳台の男性に好発し,特徴的なことは,炎症が存在しないにもかかわらず白血球数が増加することであった.

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