心臓
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研究 心磁図法による陳旧性下壁梗塞の心室再分極ベクトルの検討
野村 昌弘中屋 豊村上 昌藤野 和也石原 茂樹片山 まり子竹内 明美渡部 克介日浅 芳一相原 令森 博愛
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1988 年 20 巻 7 号 p. 813-822

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抄録

二次勾配型SQUID磁束計を用いて,対照群50例,陳旧性下壁梗塞群33例の磁界分布図を作成し,心磁図T波について検討した.下壁梗塞群の心磁図T波は,前胸部中央~左上方で陰性波の振幅減少あるいは陽性化,中央~右下方で陽性波の振幅減少あるいは陰性化を示し,上向きdipoleが推定された.
下壁梗塞群の体表面電位図で下向きdipoleしか認めない例でも,磁界分布図では上向きと下向きの2つのdipoleを認める例が13例中4例(30.8%)あった.また,電位図で上向きdipoleのみを認めた例でも,磁界分布図では上向きと下向きの2つのdipoleを認めた例が13例中1例(7.7%)にみられた.
心電図では,下壁梗塞の大部分の例で単一二重極しか把え得なかったが,心磁図では方向が異なる複数二重極を把えることができた.

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