心臓
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臨床 冠動脈拡張症における心筋梗塞発症の検討
冠動脈拡張部位の血栓形成により急性心筋梗塞を発症した3症例を中心に
鈴木 洋嶽山 陽一濱崎 裕司並木 淳郎木庭 新治松原 仁志弘重 壽一村上 幹高片桐 敬
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1994 年 26 巻 6 号 p. 598-604

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抄録
[目的]これまで,冠動脈拡張症(CE)には心筋梗塞が合併しやすいという報告はあるが,その責任部位と冠動脈拡張との関連等についての詳細な検討はなされていない.今回我々は,急性心筋梗塞で来院した患者におけるCEの頻度や梗塞責任部位との関連について検討するとともに,これまで経験した冠動脈拡張部位の血栓が原因で発症した3例の急性心筋梗塞について報告する.
[対象と方法]対象は,急性心筋梗塞で当院に来院し緊急心臓カテーテル検査を施行した連続183例であり,CEの基準は,隣接する正常と考えられる冠動脈部位の径の1.5倍以上とした.
[結果]13例(7.1%)の高頻度にCEが認められ,そのうち冠動脈拡張部の血栓により心筋梗塞を発症した例が3例(23%),冠拡張部の直前での冠閉塞が1例(8%),直後での冠閉塞が3例(23%),冠動脈拡張枝以外の冠動脈の閉塞が6例(46%)であった.
[結論]急性心筋梗塞では特にCEの頻度が高く,冠動脈拡張部との境界部が心筋梗塞の責任部位となることが多く,また,拡張部の血栓が原因でも心筋梗塞を発症し得た.
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