心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 拡張型心筋症類似の病態を呈した成人の自動能による心房頻拍の1例
武田 京子植村 晃久近松 均渡邊 靖之嶋地 健可児 篤加藤 千雄松山 裕宇安井 直森本 紳一郎菱田 仁渡邉 佳彦
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 28 巻 2 号 p. 150-156

詳細
抄録

成人においてはまれな心房自動頻拍の持続に伴い,拡張型心筋症類似の病態を呈した症例を報告する.症例は59歳,男性.呼吸困難感を訴え,心不全と診断され入院.胸部X線写真上心胸比の拡大と胸水を認め,心電図では洞性のものとは異なる変形したP波が約195/分の頻度でみられ,房室伝導比は2:1ないし1:1の頻拍であった.心エコー図上左室全体の壁運動の低下が認められ,駆出分画は35.6%と低下していた.電気生理学的検査では,頻拍のA波のactivation sequenceは低位右房,His束電位記録部,冠静脈洞近位部,冠静脈洞遠位部の順であった.頻拍は房室ブロックが生じてもAA間隔に変化を生じず持続し,心房刺激による停止が困難であったことから,心房自動頻拍と診断された.心筋生検により心筋細胞の配列の乱れ,線維化などの異常が確認されたが,頻拍との関係は不明であった.本症例ではこの頻拍の持続が心不全の発現に強く関与しており,フレカイニドの内服により頻拍が停止し,洞調律となるとともに,漸次,心機能も改善していき,心不全は代償された.しかしながら,一般に心房自動頻拍には薬剤抵抗性のものが多く,なかには心拍数をコントロールするために外科的手術療法やカテーテルアブレーションによる自動中枢焼灼の必要な例もある.本症例も今後の経過が注目される.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top